親子で楽しむN-backと、研究から分かること
親子でN-back課題をするメリット
親子で取り組むよさは、同じルールの課題に、それぞれに合う難しさで挑戦できることです。このゲームでは、子どもは1-back、大人は2-backなど、別々のレベルを選べます。年齢や経験の差があっても、一緒に遊ぶための調整ができます。
終わったら「どうやって位置を覚えた?」「どこで分からなくなった?」と話してみてください。大人が迷った場面も共有すると、正解だけでなく、考え方や工夫を話すきっかけになります。まずは20試行を1回。勝敗とともに、前より落ち着いて押せたことや、見逃しが減ったことにも目を向けてみましょう。Nの値が違うと難しさも変わるので、勝敗だけでは親子の能力を比べられません。
N-backは、覚えながら情報を更新する課題
N-backでは、今の表示がN個前と同じかを判断します。1-backなら1個前、2-backなら2個前の位置と比べます。たとえば「左上→中央→左上」と表示されたとき、3つ目は2つ前と同じなので、2-backでは押す場面です。新しい位置を見るたびに、比較するための記憶も入れ替えていきます。情報を一時的に覚えながら使う働きをワーキングメモリ(作業記憶)と呼びます。
子どもの研究では、上達のしかたに個人差があった
Jaeggiら(2011)は、小中学生がゲーム形式のN-back課題を繰り返す研究を行いました。練習で大きく上達した子どもでは、練習していない図形の推理課題にも改善が見られ、その傾向は3か月後にも残っていました。一方、あまり上達しなかった子どもには、同じような改善は見られませんでした。
研究に参加した子ども全員に、同じ効果が出たわけではありません。「遊べば必ず頭がよくなる」とは言えず、どのような条件で、誰に効果があるのかが研究の課題になっています。
論文:Jaeggiほか(2011)Short- and long-term benefits of cognitive training · PNAS
上達が広がる範囲は、N-backに近い課題が中心
Soveriら(2017)は、健康な成人を対象にした33件のN-back訓練研究をまとめました。別のN-back課題への効果は中程度でしたが、それ以外の作業記憶、推理力、認知制御の課題への効果は、とても小さいものでした。練習した課題が得意になることと、日常生活の能力全般が高まることは、分けて考える必要があります。
紹介した論文は、このサイトの親子対戦や、1回20試行での効果を検証したものではありません。親子での対戦が一人での練習より有効だとも、これらの研究からは判断できません。IQや学力の向上を約束するものとしてではなく、覚えながら判断する感覚を親子で体験し、工夫を話し合う遊びとして楽しんでください。